タイトル未定

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登場人物にまったく共感できなくても面白い小説

【白いしるし】西加奈子

歪んだ恋愛物語(私が勝手に命名)。

許されない相手と恋愛関係になる間宮。
失恋して仕事をやめ引きこもり激やせする夏目。
自分のことを愛していない男に泣いてすがる塚本さん。
突然理由も言わずいなくなった恋人を待ち続ける瀬田。

誰にも共感できない。上から「共感できない順」。

具体的にどこが共感できないって…。


間宮は…、人道的にありえないかな、その人との恋愛は。


夏目は、失恋して仕事辞めるとかありえない。中学生高校生なら学校休んでもしかたないと思うけど。若いころは、失恋すると世界が止まるからね笑。
そもそも、大人になってから「この人しかありえない」という感情は薄れてくると思う。何度も失恋を繰り返している夏目なら、なおさら。
その人を失って辛い思いはするけど、次の恋もちゃんと訪れているのだから。
もう30過ぎてるんだから、学習しろよ、夏目!

塚本さんは、自分を愛していない相手に「1年に一度でもいいから会って」とすがるところ。相思相愛ならそれでもいい。けど、気持ちがない相手と1年に一度会ってどうする?「捨てられる」と思った瞬間の一時の感情だったかもしれないけど、う~ん、私にはない感情かな。

瀬田。愛する彼女を待つのはいいけど、待ち方が異常。ちょっとホラーですね。

 

というように、登場人物の誰にも共感できなかったのですが、共感できなくとも楽しめました。多分、登場人物が自分の言動に責任を持っているからでしょうね。最悪の事態になっても人のせいにしない。四人の共通点。そこが読んでいて気持ちよかったです。

 

 

白いしるし (新潮文庫)

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